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4月1日午前2時18分
「おなか空いた…」
牀榻の上で書類やら本やらを読みながらごろごろしていた陽子は、枕元に置かれた時計をみて呟いた。
時計。
慶国では…というより、十二国ではおよそ見かけないような、立方体の機械仕掛け。
蝕であちらから流れてきたものなのだが、なぜか壊れずカチカチと秒を刻み続けたまま畑に埋まっており、鋤で黙々と田をおこしていた農夫を驚かせた。
恐々と里府に届けられたそれは、流れ流れて陽子の元にやってきたのである。
虚海を流れ、更に国中を流れても尚、動きを止めないこの時計に、冬官はいたく興味を示したが、どう分解していいやら、あちらの国の機械に馴染みのある陽子ですら、全く判らない作りになっていた。
そうして今、臥室の枕元にあるそれ。
虚海を渡っても尚、動き続ける歯車。
表示されている時間は、今まで一度も狂っていないのではないかという気がした。
"西暦も表示されるものだったらな"と、一瞬思ったが、今更詮無いこと。
そういえばあちらには「電波時計」というものがあったはずだが、あれは定期的に最寄局から電波を受信して自動修正するという仕組みじゃなかったっけ?
「あちらの電波を受信していたら、凄いなお前」
そんなことはあるはずもないのに、時を刻み続ける箱にそう語りかけ、牀榻を降りて隣室に向かった。
机の上にはちょっとだけ冷めかけた饅頭と茶。
女御の気遣いに微笑みながら、器に茶を注いだ。
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